2025年8月10日 北海道新聞掲載
政府は2025年度補正予算案を閣議決定した。一般会計は18兆3,034億円と24年度補正(13兆9,433億円)から大幅に増加している。目を疑った。財源は全体の6割超に当たる11兆6,960億円を国債の追加発行で賄うという。いわく「責任ある積極財政」だそうだが、どこが「責任ある」と言えるのか。
25年度当初予算を見てほしい。国債の発行額は28兆6,490億円なのに、歳出のうち国債費が過去最大の28兆2,179億円となっている。国債を発行してもそのほとんどが国債の利払いと償還に回っているのだ。新たに追加発行される11兆円を超える国債は、この先、若い人たちが返していくのである。将来にツケを回す国債頼みの財政は無責任というべきだろう。
日本国債の債務不履行(デフォルト)は考えられない…と主張する人は多いが、現に利払いという負担をしている事実は無視できない。国債を安定的に発行していくには、財政への信頼が欠かせないはずだ。