「自公政治」と訣別するために今回の選挙で風穴を開けたい
北方ジャーナル11月号掲載
社民党北海道連合副代表を務める鳴海一芳氏(70歳)が10月27日投開票の衆院選に比例代表道ブロックで出馬する。元最高裁事務官で在職中は労働組合の役員を歴任、親の介護のために小樽に転居後、カジノ反対や護憲、脱原発運動に取り組み、6年前には小樽市長選にも挑戦した。そんな鳴海氏にとって今回の出馬は市民運動の延長線上にあるようだ。「新自由主義を掲げる自公政治は自己責任や格差という言葉で労働者の生活を破壊している。その政治がいかなるものかを選挙戦で周知していきたい」と意欲を語っている。(武智敦子)
目標は「野党票の上乗せ」
社民党の公認候補として10月15日公示、27日投開票の衆院選に立候補されます。
鳴海 今年3月30日に札幌で開かれた社民党道連の定期大会で社民党道連合の副代表に就任し、今回の衆院選・比例代表道ブロックでの擁立が決まりました。
現在、社民党の国会議員は衆院議員が1人、参院議員が2人です。2021年10月の衆院選では小選挙区で一人が当選したものの、比例代表では議席を獲得できなかった。比例代表道ブロックで社民党が獲得したのは4万1248票で、当選ラインの25万票には及びませんでした。
数字的にはかなり厳しい。旧社会党時代を含めると79年の歴史を持つ社民党ですが、政党としての衰退は著しい。そのような状況下で出馬を決めたのはなぜですか。
鳴海 昨年の秋に社民党道連の浅野隆雄幹事長から話がありました。道連は道内で革新的な活動をしている弁護士や研究者などに衆院選への出馬を打診したものの、みな辞退されたそうです。そこで私に話を持ってきた。私は護憲ネットワーク北海道(本部札幌)で事務局次長をしており、ここの事務局長でもある浅野さんとは毎月のように顔を合わせていました。私への打診は、お互いの考え方がよく分かっていたからだと思います。
すぐに出馬を決めたのですか。
鳴海 最初のうちは固辞していました。ただ市民運動を続ける中で、日本の状況があまりにもひどいことは痛感していました。特に今は自公政権が働く人の生活を苦しめているので、革新的な野党の政治に変えたいという気持ちは強かった。直接的には政治活動はしませんでしたが、在職中から労働組合運動を通じてそれなりに関わってもきました。今回の出馬もその延長線上にあります。
2018年には共産と社民などの推薦を受けて小樽市長選に無所属で立候補されています。
鳴海 当時の市長の市政があまりにもお粗末だったので、何とかしなくてはと思ったのが立候補した理由のひとつです。また小樽というまちの市長選は自民、立憲民主、公明の各支部などが候補者を推薦する5者協定で行なわれていたが、結局中心は自民党と経済界。このままだと小樽の将来はないと考えていました。
再び政治を目指すのは、市民運動の延長線上だと。
鳴海 カジノ誘致反対、脱原発、護憲運動を行なってきましたが社民党も考えは同じです。
確かに党として議席を獲得するのは厳しいかもしれませんが、今回出馬する一番の目的は、自民党と公明党、そして保守政党である日本維新の会の票を減らすことです。新自由主義の立場にある政党は、自己責任や格差という言葉で労働者の生活を破壊する。今の自公政治がどのようなものであるかを、少しでも有権者に訴えていきたい。
自公政治に対抗するには野党共闘も必要では。
鳴海 確かに野党がひと塊になるのが一番いいですが、現実には難しい。いろいろな人から野党が分かれているのでプラスにはならないと助言をいただいていますが、その辺についてはやり方次第だと考えています。私は街頭演説で野党批判は一切しません。自民、公明、日本維新の会がどれほど国民を酷い目にあわせているかの1本に絞っています。
それを踏まえて、選挙をどのように戦いますか。
鳴海 比例北海道ブロックの定数は8人で、現在の議席は自民、公明が5人、立憲民主が3人です。それを少なくとも4対4、いや、できれば自民公明で3、野党が5議席獲得できるような役割を果たしたい。
前回の衆院選北海逆ブロックの野党の得票数を見ると、れいわ新選組が10万2086票、共産党が20万7189票、立憲が68万2912票です。今回の選挙戦では、れいわと共産党の得票を何とか押し上げ、立憲も5万票くらい上乗せできればと。こういう形が実現すれば私の目標は達成されると考えています。
白身の出馬を選挙戦に風穴をあけるきっかけにしたいと。
鳴海 その通りです。だから、衆院選比例代表道ブロックでは野党が過半数を獲得できる選挙運動ができればいいと思っています。
出馬についてご家族は何とおっしゃっていますか。
鳴海 家族は皆大反対でした。でも、普段から見放されているようなものなので(笑)。投開票までタイトなスケジュールですが、頑張って全道を回りたいと思います。
健闘を期待します。