2023年8月4日 北海道新聞掲載
本紙7月23日朝刊1面の「放牧酪農 今こそ脚光」という記事を読んでうれしくなった。私の故郷である足寄町の酪農家が紹介されていたのでなおさらだ。
国連は2019年から2028年を「家族農業の10年」と定め、各国の政策の中心に位置づけようと推奨している。世界の飢餓解消、持続可能な農業実現に必要だと考えているからだ。大規模農業はどうしても大量の化学肥料や農薬が必要になる。土地はやせ細るだろう。
一方、家族農業、放牧酪農は、確かに生産性は低くなるかもしれないが、長い目で見れば地球に優しい農業だといえる。
「小規模の持続性」は農業の未来形だと思う。ただ、問題は消費者にある。農産物を「安ければいい」という見方でなく、農家が当然生活できる価格で購入するということだ。
そして食料安全保障という観点からは、国の補助、支援も必要だと思う。農業はなくてはならない産業だ。農家が安心して働ける家族農業の拡大を願う。